著:野津守
仏陀の法(意訳−般若心経のつもり) 純粋な心の持ち主よ、よく聞きなさい。 私たちは、今この瞬間にも、死に向って進んでいる者であり、すでに死につつあることを理解しなさい。 私達のこの人生も、身体も、感覚も、想念も、思考も、記憶も、何一つとして思い通りに成るものではなく、死と共に全てを失ってしまうことを正しく理解しなさい。 純粋な心の持ち主よ、私達の人生や、身体や、言葉や、意識を自分だと思い込むのは止めなさい。自分のものだと思い込むのは止めなさい。またその思い込みを捨てなさい。 私達が思い通りにならないものを、自分だと錯覚し、自分のものだと誤解して、大変な苦しみを味わっていることを正しく理解しなさい。 思い通りに成らないものは、自分ではないことをよく理解しなさい。 そして、思い通りに成るものは、何一つとして有りえないことを正しく理解しなさい。 純粋な心の持ち主よ、私達の人生は、生れに支配され、時間に支配され、死に支配されていることを理解しなさい。 あなたは全てを思い通りにすることはできない。生れて来る時に両親を選ぶことはできない。あなたは時間を止めることも戻すこともできはしない。そして、死は必ず訪れる。あなたは死から逃れることはできない。それは時間の問題である。よく考えて、正しく理解しなさい。 私達の身体は、生れに条件付けられ、老いに支配され、死によって奪い去られる。 私達の感覚は、接触に縁って生じ、苦痛に支配され、楽しみはいずれ消えてしまう。 私達の想念は、常に動きを止めず、貪欲になり、怒り、無意味なことを思い煩う。 私達の思考は、すぐに想念に巻き込まれ、一つのことを考え続けることはできない。そして全てを ありのままに正しく理解することはできない。 私達の記憶は、曖昧であり、その全てを思い出すことはできない。そして間違った私という観念を作りあげている。 これらを、自分だと思い込むのは止めなさい。自分のものだと思い込むのは止めなさい。そうしなければ、私たちは苦悩から解放されることはない。 この正しい理解に縁ってのみ、私たちは解脱へと至ることができる。 皆様の御意見をお待ちしております。 |